簡素な生活。

サカタカツミのブログ。連載のサブノートが中心。すべての働く人たちに。役に立つ話も立たない話もあり。

新卒採用をなぜするのか。



いろいろな「総研」と名のつくところがさまざまな調査をして、いろいろなデータを出している。それらをながめていると面白いことに気がついたりする。データはあくまでデータであり、それ以上のものはないし、実際の現場との乖離感も少なくない。が、大まかなところをザクッととらえるのには、こういうのをぼんやり見るのが最も効果的だ。よくわからないオッサンたちが話す経験則のようなものよりも、ずっと役に立つ。この調査で面白かったところはいくつもあるが、残業に関してはかなり興味深かった。

かつて残業とは仕事の量が多いこともさることながら、それ以上に「帰りにくい雰囲気」が職場に蔓延していて、その結果「付き合い残業」をすることが多い、という話がまことしやかに流布していた。が、いまはそうでもないらしい。人手が足りない、突発的な仕事があると、まさに「残業しなければ仕事が終わらない」状況にあることがわかる。付き合い残業なんてのんびりした牧歌的な時代は、過去の話なのだ。職場は人手不足、求人は常時なされている、残業しなければ仕事が終わらない、そんな感じなのだろう。

とした時に、新卒採用は職場の人手不足を補う有効な手段のはずだ。中途採用の難しいところは、応募者の母集団形成が上手くおこなえないところだ。ところが新卒採用なら、働きたいと活動している人が割と大きなスケールで存在することはわかっているわけだし、そこにアプローチすることは容易だ。しかも、粒がある程度揃っているし、セグメントされた状態でまとまっているので、採用する側もなにかと便利である。第一、給料は安く済むし(当たり前だが初任給でいいのだ!)。人手不足解消にもってこい、のはず。

だが、現実的にはそうはならない。理由は二つある。一つは「採用時期」だ。いまは人手が足りない、が、就活生が卒業する時点で人手不足であるかどうかは、誰もわからない。なので、新卒採用に人手不足を補う役割を与えることはできないのだ(この点からも、現状の新卒採用はリスクの高い採用とも言えるのだが)。もうひとつは「教育」の問題だ。新卒採用者を、職場に早く適応させ、戦力化するノウハウを持ち合わせている企業は意外に少ない。新卒はゆっくり育てるもの、という感覚を見直さないと難しいのだ。