簡素な生活。

サカタカツミのブログ。連載のサブノートが中心。すべての働く人たちに。役に立つ話も立たない話もあり。

誰もが就活できない時代。



「〆の決め台詞」がいい感じに緩いアルファブロガーさんが、就活市場を一発で適正化できるというアイデアを提示していた。とても興味深い。就活はもうずいぶん前から市場ではあるのだが、別の側面から「人生の大事なことを決める節目」的なイメージを持っている人も少なくないので、市場というあからさまな言葉を使う人は少なかった。が、そこでビジネスをしている人がいて、たくさんのお金が動いているのだから、まあ、そういう言葉が相応しい状態ではある。建前は止めようという感じで、いい感じである。

実際の提案は「なんだろう、このもやもやした気持ちは」という感じを受けた。みんなたくさん受け過ぎだから落ちる人も出るし、企業も大変な状態になると。だから、検定料を就活生から取って、誰も彼もが「必要のない企業を受けさせないようにすれば良い」という提案は「はー、なるほど」と思う人も少なくないだろう。就活の実情をよく知らない人にしてみたら(このアルファブロガーさんはそちら方面のプロであるはずだが)。就活市場の問題は、そもそも「学生が企業を受けすぎるから」ではないのだ。

就活を振返る調査などを見ていても、信じられない数の企業を受けている就活生はほとんどいない。逆にいうと「珍しいから」報道されるのだ。「二十社も受けていないと思いますよ」とか「三社受けたら内定出たので就活止めました」という就活生よりも「百社受けてもまったく内定でません」という人を取り上げたほうが、面白いに決まっているのだ。それを真に受けている人が多いことに吃驚してしまうけど。大手企業ばかり受けて玉砕を繰り返し、落ち込んでしまって就活できなくなったなんて就活生も、それほどいない。

大手企業を受ける人の多くは「記念受験」もしくは「場慣れ受験」がほとんどだ。それに対して大手企業がコストを払わされていることに関しては、とても気の毒だが、彼らにしても企業としてのブランドがあるわけだから、本来は「大きな母集団」を形成して、そこから「厳選採用する」必要はないはずだ。コスト削減したければ、スケールを小さくすれば良い。が、それができない理由は別にある。それは「会っても会っても」もっと「いい人がいるんじゃないか」と採用担当者が、不安に思っているからなのだ。

実際、多くの採用担当者が「できる限り多くの学生と会いたい」と口を揃える。検定料というコストを払うことになれば「本気でそこに入りたい就活生しか応募しない」という提案も、採用担当者からみたら笑うしかないだろう。面接官は面接をする際に、アセスメントという仕事と同時に「相手に自社の良い情報を提供」して「自社のブランディングをする」という役割も担っていてる。そう、口説いて翻意させることも重要だと企業は考えているのだ。だからこそ、いろんな学生と会いたいと思っているのだし。

こういう類いの提案をする人(自分らしく就活しようとか、外資ではこういう話になるという話を開陳する人も同様)は、採用のプロであってもエリートの領域にいる人だ。選ばれた企業だからこそ、選ばれた人しか受けに来ないし、それほど多くの学生と会うという手間をコストとして削減できる判断も可能になる。ただ、他の企業もすべて同じではないし、むしろそういう手間暇かけてでも、いい人を見つけ出したいと思っているのだ。ただ、いまのやり方が良い、というわけではまったくない(コストかけ過ぎと思う)。

就活は多様化してきている。新卒という枠に囚われることなく採用しようと考えている企業も増えてきたし、ナビサイトを使わないことを自社の特徴と考える採用担当者だって多くなってきた。その分手間がかかるが、エントリー者を絞ったとしても、良い出会いができるようにと考えている企業も増加中だ。ニュースで取り上げられる「異常な光景」をわざと鵜呑みにしてしまって、よくわからない提案をするのは「釣り」なんだろうなと思いつつ、ついでに釣られてみた次第。それではねー(改変)。