読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

簡素な生活。

サカタカツミのブログ。連載のサブノートが中心。すべての働く人たちに。役に立つ話も立たない話もあり。

就活は化かし合いなのか。



「本日は貴重なお話をありがとうございました」という台詞で始まる質問を耳にしたことがある人は少なくないだろう。そして、それは就活生に限らない。多くのビジネスパーソンが、セミナーや講演会に出席した際に、最後に用意されている質疑応答で必ず繰り広げられる光景なわけだから。いつの間にか就活生にも波及し、挙げ句の果てに「キチョハナカンシャ」なる珍妙な略語にまで成り下がってしまった。ただ、よく考えてみると、セミナーや講演会でのそれと、会社説明会のそれとは意味合いが違ってくる。

セミナーや講演会では確かに貴重な話を聞かせてくれる講師に感謝の言葉を述べるのは、たとえセレモニー的な要素を含んでいるとしてもアリだろう。しかし、会社説明会における貴重なお話とは何だろうか。本当に感謝の意を示したくて言っているのだろうか。その先を考えると薄ら寒い気がする。要は、そういう台詞を押さえておけば「らしく」聞こえると思っているように思えるし、それが形骸化して、さらに「そういうことを言うもの」だと思い込んでいる就活生が増えて来ているような気がする。

要は茶番なわけだが、じゃあ、その茶番を作り出した犯人は誰なのか考えてみる必要がある。例えば「リクルートスーツを見ていると寒気がするね。どうしてみんな同じ格好なんだろう、馬鹿じゃない?」という人は少なくないが、それにしても就活生が好きであんな格好をしているわけではない。同調圧力がかかる原因を誰かが作っているのだ。自戒の念を込めて言うが「就活生を支援」しているという人たちは、無自覚にこういうルールめいたものをレクチャーし、結果的に就活を画一的なものにしてしまっている。

同時に就活にありがちな「ダブルミーニング」的な部分が、その流れをさらに加速している。連載コラムにも書いたが、会社説明会と銘打って実は選考をかねているというケースはゼロではない。しかも、そういう企業の多くが「会社説明会と選考はまったく関係ないです」と笑顔で話している。ビジネス社会なんてそんなもんじゃん、という声も聞こえてきそうだが、それならそれで誰かが種を明かす必要がある。暗黙の了解とは、同じルールで戦っている人たちだけに通用することだ。それを忘れている採用担当者は多い。