簡素な生活。

サカタカツミのブログ。連載のサブノートが中心。すべての働く人たちに。役に立つ話も立たない話もあり。

手段を考えるための一冊。

テクノロジーとイノベーション―― 進化/生成の理論

テクノロジーとイノベーション―― 進化/生成の理論



久しぶりに興奮した。読み進めるのが惜しい、けれども早く読んでしまいたい、そんな感じ。この本を読んで「凄かったですね、あの一冊」という感想を持たない人とは友達にはなれない、いや、少なくともビジネスを一緒にしたくはない、そういう踏み絵のような一冊なのかもしれない。帯に「新技術はどこから生まれ、どこへ行くのか?未来を見通すための枠組みがここにある。」と書いてある。ただし、この本を読んだからといって、未来が見通せるようになるわけではない。未来の作られ方が垣間見えるだけだ。

こういう一節がある。石油精製は、原油成分の蒸発温度が異なるという現象に基づいている。ありふれた道具であるかなづちは、運動量の伝達という現象を利用しているのだ(動く物体であるかなづちから、止まった物体である釘へと伝達される)。しびれる一節。これはテクノロジーは効果に依存する、そして、テクノロジーは常に現象、自然に依存している、それを目的達成のための活用しているということを説明する段落に書かれている文章。確かにその通りだが、その原則を忘れて「発想したがる」人は多い。


あまり書いてしまうと読む楽しみがなくなってしまうので控えるが、テクノロジーとはなにかということを、著者は実に用意周到に定義する。そして、その定義づけられている文章を読むだけで、自分の頭の中がドンドンとクリアになっていくのがわかる。世の中に提供されている様々なものが、このフレームの中にストンと落ち、その延長線上で考えることは、実は未来を見通すことになるのかもしれないと、まだなにも見えていない時点ですでにワクワクが止まらなくなるのだ。

テクノロジーの進化とは「困った」を「よかった」に変えることであり、私はそれを働くというフレームに落とし、これから仕事に就こうとする人に説明していた。著者は平たく言うと、目的に対する手段であるテクノロジーが進化し深化することで、イノベーションが起き、そう考えると、テクノロジーの結果が文化であり、歴史であり、経済となって現れているのだと整理している。アイデアを作り出すことが仕事だと自負している人は、一度本書を読むべきだろう。オススメ、というより「必読」である。