簡素な生活。

サカタカツミのブログ。連載のサブノートが中心。すべての働く人たちに。役に立つ話も立たない話もあり。

オリーブオイルのヤバさ。

エキストラバージンの嘘と真実  ~スキャンダルにまみれたオリーブオイルの世界

エキストラバージンの嘘と真実 ~スキャンダルにまみれたオリーブオイルの世界



いつの間にかオリーブオイルが身近な存在になっていた世代だと思う。調理をするための油も混合油から気がついたら単種の油になっていて、オリーブオイルそのものもポピュラーになっていて、食卓にも上り、日常生活の中に浸透していた感じ。日本薬局方オリブ油という商品もあるくらいだから、身体に良い感じはする。しかし、それだけ身近な存在になったにもかかわらず、私たちの多くはオリーブオイルについてほとんど知識を持ち合わせていない。そして、この本を読むとそれは意外にヤバいことに気がつく。


この本にはエキストラバージン・オリーブオイルの大半が「そうではない商品」であることを丁寧に暴いている。さながら推理小説のよう。絞ったかすから精製するオイルならまだしも(それでもランプ油に適しているそうだ)まったく違う油を脱臭し、着色してオリーブオイルとしているものもあるらしい。アレルギー体質の人は、その表記を信じて事故が起きないとも限らないと警告する。が、数多くの利権にまみれたオリーブオイルを取り巻く環境は、そのイメージとかけ離れ、まるで「浄化されない」業界らしい。

イタリアやスペインといった古くからオリーブオイルを作っている国よりも、新興国と呼ばれる事業者の方が、作り手としての経験が浅く、規模も小さい。だからこそ、オイルビジネスの足かせが外れて、高品質なものを作り出す可能性があり、事実そうなりつつあると、著者は指摘する。かつて日本には本物の豆腐がなくなり、古い豆腐作りを学んだアメリカに本物の豆腐が残っていたと指摘したグルメ漫画があったが、それと同じ現象らしい。このようなとても興味深い記述がこの本には溢れている。

『本物の』エキストラバージンには備えておくべき三つの特徴があるという。果実風味と苦み、そして胡椒風味、つまり辛さだ。そのエキストラバージンが本物であれば、のどに刺激が走り咳き込んでしまうらしい(笑)。エキストラバージンだからこそのシルキーな味わいなどと書いてあるそれは「偽物です」と大声で言っているに他ならない。そんなことを知らなくても困らない、と思ってしまうが、偽物を許してしまうと本物が駆逐されてしまう。大切なものを失う前に、私たちにもできることがある。