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簡素な生活。

サカタカツミのブログ。連載のサブノートが中心。すべての働く人たちに。役に立つ話も立たない話もあり。

以前の自分と向き合う術。

教科書に載った小説

教科書に載った小説

  • 作者: 三浦哲郎,永井龍男,松下竜一,広津和郎,吉村昭,菊池寛,安部公房,吉村康,横光利一,リヒター,芥川龍之介,佐藤雅彦(編)
  • 出版社/メーカー: ポプラ社
  • 発売日: 2008/04/24
  • メディア: 単行本
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学生時代、現代国語(いまもあるのかな・笑)が得意だった。というよりも、国語全般が得意で、テストはほとんど満点以外取ったことがなかった。ただ、好きではなかった。著者の気持ちを書かせる形式のアレが、どうも肌に合わなかったのだ。用意された選択肢の中に、どう考えても著者はそんなことを考えていないだろうと思う項目しかなかったときの絶望感。結果として「正解であるとされている」選択肢を選ぶしかなく、気持ちのモヤモヤはどこかで昇華させなければならないのだが、なかなか難しかった。

就活も似たようなもので、選択肢はある程度用意されている。自由に生きなさい、自分らしく働きなさいとアジる人は少なくないけど、それはなかなか骨が折れるし、覚悟が必要である。そして、その覚悟が十分にもてないのに、既存の選択肢を否定する材料として自由さを利用する就活生がいて、不幸の連鎖は続いてしまう。だからどう、という話ではない。ただ、選んではいけない人への責任を「そんな堅苦しい生き方はダメじゃん!」とアジる人たちは持ってくれない。

当然だ。彼らは自分でできたから「他人もできる」と思っている。正しくいうと、思っていなくても思っているふりをしていれば、意外と儲かるという術を知ってしまったといっても過言ではないかもしれない。ただ、勘違いしてはいけないのは、それが悪いという話ではない。それを言い訳にして、もしくは隠れ蓑にして、自由に、自分らしくという言葉を、言い方は悪いが悪用する人たちに問題があるのだ。そもそも、元からそんなことを考えていたのか、もう一度、自分自身を問いおなしてみるといい。

紹介した本は、教科書に掲載されていた小説を佐藤雅彦さんが編み直したもの。とてもシンプル。ただ、それを読んでいると、昔のことを思い出す人も多いだろう。選択肢が用意されていて「出題者が考えた」著者の考えをチョイスしなければならない、定期テストのことを。ノスタルジックな気分に浸ると同時に、自分はその選択肢に疑問を持ったことがあるのか、思い返してみるといい。もし、一度も疑問に思ったことがないとしたなら、それはもう、レールの上を走るほうが向いているのだ。それが自覚できる一冊でもある。