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簡素な生活。

サカタカツミのブログ。連載のサブノートが中心。すべての働く人たちに。役に立つ話も立たない話もあり。

ささやかな日常を商売に。

小商いのすすめ 「経済成長」から「縮小均衡」の時代へ

小商いのすすめ 「経済成長」から「縮小均衡」の時代へ



就活生の中には「今のままの生活でいい」という気持ちと「もっと向上心を持たなくてはダメだ」という周囲のプレッシャーの間で揺れ動いているという人も少なくないだろう。例えば「今までといっても、今は親のすねをかじっている状態じゃないか。すねはいつかなくなるのだから、働かなくてどうする」といわれても、そのいつかがいつなのかがピンと来なければ、戸惑うばかりである。定年という数字を見せつけられたとしても、退職金という別の数字を思い浮かべて「あれ、まだいけるんじゃね?」と思ったりすると。

「そんなことを言っても親は先に死ぬし、親の退職金だけで自分が死ぬまで生活なんてできないのだから、バカなことを考えるな」というお叱りの声が聞こえてきそうだが、これにしても「だったら死なない程度の生活ができる仕事であれば、別にいいんじゃないのかな」という若い人が現れても、別に不思議ではない。これに対して「若い人がそんなことでどうする!」という叱咤激励が飛びそうだが、それにしても、そんなことでどうするという言葉に根拠はない。日常生活をささやかに営むという目的はちゃんとあるのだし。

スペクテイター〈27号〉 小商い

スペクテイター〈27号〉 小商い



冒頭で紹介した書籍は、この雑誌の中で紹介されていたものだ。雑誌自体に掲載されている「小商い」そのものは特に目新しいものではなかったけれども、小商いという発想を人に勧めているという書籍にはとても惹かれた。野心を持ってスケールアップしていきたいという人を止めることはしない。むしろ大歓迎だ。しかし、そうじゃない生き方を「降りる」という表現で片付けてしまうのは暴論すぎる。向上心という空回りしそうな謎の言葉を吐きながら、日々勉強ですと嘯く人たちよりは、よっぽど清々しい感じさえする。

結論としては、この書籍は読まなくてもいいかもしれない(苦笑)。縮小均衡の時代になにをすべきか、という処方箋が書かれているが、それはもうわかっている人には自明の理だろうから。雑誌は目新しくなかったが、この書籍を読んでから再読するとなかなか味わい深い。小商いとはまだ、人の想像のつく範囲でしかされていないことがわかるのだ。だからこそ、イマドキの若者らしい「思いもよらない小商い」がドンドン出てくればいいなと思う。自分らしく生きることの手段としての小商いは、アリなのだ。