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簡素な生活。

サカタカツミのブログ。連載のサブノートが中心。すべての働く人たちに。役に立つ話も立たない話もあり。

情報を集めるということ。

そもそも食べることが好きな私。別アカウントで食べることについてだけ書いたブログを持っているくらいである。だからというのも変だが、食べること、料理のことが書かれた本も大好きである。書店に足を運んで面白いと思ったら、今月は本を買いすぎているなとわかっていても、つい手を伸ばしてしまう。そして、また、とても面白い本に出会った。このブログを読んでいる人すべてのお勧めしたい、かなり興味深い一冊だ。そもそも大好きだったこの連載をまとめた本らしい。

ニッポン定番メニュー事始め

ニッポン定番メニュー事始め

 

 文字通りの一冊だ。カレー、餃子、牛丼、ナポリタン、コロッケ、冷やし中華、メロンパンなど、日本の食卓には、いや食事のシーンには欠かせない、それこそ「定番」メニューの源流を訪ねて、コンパクトにまとめてある。私自身も古い料理本のコレクターなのでよくわかるが、ルーツを追ってみると意外に「いま世の中で言われている定説は疑う余地がある」ことがわかる。同時に、訳知り顔で語っている人たちの中には間違いを孫引きしているだけの厚顔無恥な輩も少なくないことがわかったりする。

筆者の澁川祐子さんは、このインターネット全盛期、しかもインターネット上でのコラムにもかかわらず、文献で事実を明らかにするという方針を立てて、連載に望んだところがとても興味深い。ネットで検索すればかなり詳しい情報も手に入るが、それを私がなぞっても仕方ないと筆者は本書で語っているが、それよりもネットで調べるということの限界を感じていたのかもしれない。ある事柄を調べようとしても、時系列で並べるのは難しいし、その情報の真偽は判断できない。しかも、なにより量が多すぎる。

もう一つ「元祖と呼ばれる店から、直接話を聞かない」という方針もユニーク。こういうルーツ探しをするときには、元祖と呼ばれる店から苦労話をベースにしたコメントを添えれば記事はいっちょ上がりになってしまうし、説得力も増すような気がする。が、元祖と呼ばれる店の中には「実は元祖ではない」店も少なくないことを理解した上で、それを否定しないよう、むしろ尊重しつつ、事実を明らかにするというスタイルをとっている。中身は読んでのお楽しみ。情報を集めるということの面白さがわかる一冊だ。

当然、読んで美味しい本であることも、間違いない。