簡素な生活。

サカタカツミのブログ。連載のサブノートが中心。すべての働く人たちに。役に立つ話も立たない話もあり。

読んではいけない必読本。

もう各所で評判になっているだろうから、いまさら感は満載なのだが、あえて紹介したい本がある。この本を読んでいない、という人がいたら、読まないほうが良い。例えば、使えない上司がいる部下は読んではいけない。効果の出ない広告代理店を使っている宣伝部の担当者は読んではいけない。費用対効果の悪い採用手法を提案してくる人材会社にうんざりしている人事部の人間ももちろん読んではいけない。そう、みんな読んじゃダメ。

説得とヤル気の科学 ―最新心理学研究が解き明かす「その気にさせる」メカニズム

説得とヤル気の科学 ―最新心理学研究が解き明かす「その気にさせる」メカニズム

 

この本の「読んではいけなさ具合」は、第9章を見れば一目瞭然である。少し引用する。

ここまでは、7種類の動因を利用して人を説得するためのストラテジーを詳しく紹介してきました。この章では、こうしたストラテジーを実社会で活用する方法を紹介します。人を動かすには、まず次の二点についての判断が必要です(212pより引用)

そう、人を動かすためのストラテジーと、なぜ人はそう動いてしまうのかというメカニズムを事細かに解説しているのだ。ここに至るまでの200ページを費やして。そして、この章で、それらのストラテジーを組み合わせて、効率よく「人を動かす」方法論を提示している。どんな方法が提示されているのか、いや、どんなシーンでストラテジーを運用すべきなのか。示されている実例を、ここで引用しておく。

  • 慈善事業への寄付をしてほしい
  • 自主的に判断して仕事をしてほしい
  • 採用してほしい
  • 入社してほしい
  • 新規に契約してほしい
  • 子供たちに家でも楽器の練習をしてほしい
  • 顧客に「宣伝役」になってほしい

ほら、もう読みたくなったでしょう?(苦笑)これらすべてに、なにが課題なのか、そこに使うべきストラテジーはなにか、そして、なぜそのストラテジーを使うべきなのかが、わかりやすく示されている。例えば『入社してほしい』という目的に対して「物語の力」「本能」「熟達願望」「帰属意識」というストラテジーを使えと教える。それぞれについては、本書を読んでのお楽しみだが、的を射すぎていて怖い。

さらに、熟達願望を満たすために「新たな学びの場であることを強調せよ」「精鋭部隊であるとほのめかせ」「自主性が重んじられると知らせろ」「職務の手強さも指摘せよ」と細かく提示されている。相手のどこを突けば、どんな心理状態になり、どんな行動を採ってしまうのか。その気にさせるメカニズムが解明されているこの本は、決して手に取ってはいけない一冊であることは間違いない。手品師の種、みたいなものだから。