簡素な生活。

サカタカツミのブログ。連載のサブノートが中心。すべての働く人たちに。役に立つ話も立たない話もあり。

はじめから作り直す作業。

一から作ったほうが速い、ということはよくある。

グレート・リセット―新しい経済と社会は大不況から生まれる

グレート・リセット―新しい経済と社会は大不況から生まれる

 

ゼロから立ち上げます、という仕事を請け負うとき。大変だとは思うが、気分的には楽であることが少なくない。逆に、仕組みを改善してほしいと乞われる依頼は、やりがいはあるけれども、気が重いことが多い。理由は簡単で、上手く機能していない仕組みを改善するには、一から作り直したほうが速いというケースが、少なくないからだ。けれども、多くの場合それは許されない。資産は負の部分も引き継ぎをしなければならないし、慣習の多くは残して当然という顔を当事者からは、される。

ダメな部分も多いけれども、上手く機能している部分もあるのだからと、実際に手や身体を動かしている人たちが、そう信じてしまうからだ。その多くは錯覚で、上手くいっていない部分と比較して上手くいっているだけ。もしくは、すべてが上手くいっていないので、感覚が麻痺してしまっているだけ、というケースがほとんど。新しい知識をどこからか仕入れてきて「今度はこの方法でトライしましょう」と、声高に叫ぶ担当者が多いプロジェクトほど、壊滅的な状態に陥っている。

紹介した本は、新しい経済と社会は大不況から生まれるのだ、というテーマで、具体的な事例を紹介している。まあ、結果としてそうだったという本なので、楽しんで読むこと以外に使い道がない。いままでがそうだったからといって、これからもそうだとは限らないから。ただし、歴史的なできごとを振り返るまでもなく、ビジネスや組織やユニットやプロジェクトや方法論の多くには、間違いなく寿命があり、そして、延命措置は往々にして、効果がない。それを思い知るのには、うってつけだ。

多くの企業の組織は、出来の悪い温泉旅館のようだ。本館があり、別館があり、新館がある(苦笑)。それぞれは渡り廊下で繋がっているが、どう考えても効率が悪いし、アネックスに泊まっているのに、朝食は本館の大食堂に行かなければならないという、施設の都合でオペレーションされて、客は憤慨して二度と泊まらないというアレだ。はじめから作り直す作業をする勇気が持てない人は、寒い朝、目をこすりながら、丹前を羽織って吹きさらしの廊下を歩く辛さを、思い出すといい。