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簡素な生活。

サカタカツミのブログ。連載のサブノートが中心。すべての働く人たちに。役に立つ話も立たない話もあり。

買いたがっている脳の話。

脳の働きに関する本を浴びるように読んでいると、かつて常識だったことが、いまではまったくの非常識になっていたり、単なる当て推量に他ならなかったことがわかって面白い。研究が進むということはこういうことなのかという体験が、勝手にできる。といいつつ、書籍というパッケージになった時点で、最先端とは言いがたく、ある程度は色あせてしまっているんだろうけど。それでも、知のバージョンアップはとても楽しい。

買いたがる脳 なぜ、「それ」を選んでしまうのか?

買いたがる脳 なぜ、「それ」を選んでしまうのか?

 

この本の素晴らしいところは、どんなものでも買ってしまうように仕向けられている世の中で、買わないようにすることは極めて難しく、いや、絶望的に無理なのだと諦めさせられること。合理的に考え、踊らされまいと考えている人でも、その考えるプロセスの中に、少しトラップを埋められるだけで、操られてしまうのだから。例えば「自分へのご褒美としてのお菓子」という発想。これが暗示のフレーズだと、誰が気付こうか!

脳はとても優れた器官であるが、優れているが故に過信しがちで(いや、持ち主である人間が脳を信じてしまう癖があるからかもしれない)その過信に付け込むことで、脳は「正しく、間違いなく、合理的に」いまの自分にとって必要のない選択をしてしまう。ソーシャルネットワークツールが普及したいま、かつてよりもその操作がたやすくなってきた。繰り返し刺激されることで脳は学習する、それが「正しいこと」なのだと。

例えば、インスタグラムなどで「誰が見ても素敵だと思う写真」を熱心に投稿している人の中に、子供が題材になっているケースは多い。フォトジェニックなそれは、極めて賞賛を浴びやすい。ただ、子供にとってみれば、素敵な思い出とは「スマートフォンを構えて、トリミングを計算して立ち位置まで指示する親」と向かい合うことだと、脳が学習してしまう。その怖さまで思いが至る、ある意味「寒く」なる一冊だ。オススメ。